臨床に携わり17年、延べ10万件以上の診察と3,000件以上の手術を行ってきました。指導医として勤務していた時期もあり、多くの症例を診てきたつもりですが、それでも、いまだに予想もしない事態に遭遇し、考察の糸口さえ掴めない事例も少なくありません。
この文書は、次の2点をあらかじめご理解いただくために作成しました。
1. 動物医療は人間医療とは根本的に異なり、不確実性が高い事
2. 当院の目標は、信頼関係に基づいた医療の提供である事
〇動物医療の不確実性
まず、動物は自ら症状を話す事はなく、しばしば本能的に不調を隠します。そして、時に暴れ、噛みつき、逃げ惑い、恐怖で失神したりします。そのため、処置ひとつ・採血ひとつにも職人のような技術が求められ、時には、ただ、お預かりする事でさえ、予測もしない事態に発展します。
〇麻酔リスク
ある論文では、犬9.8万頭・猫7.9万頭を対象とした調査において、健康と判断される状態の場合、約0.1%(約1頭/1000頭)、基礎疾患がある場合は、約1.4%(約14頭/1000頭)において、麻酔による死亡事故が報告されています。これは、動物から稟告が取れない事、実施できる医療検査に限りがある事、そして、麻酔医などの専任者を置けない事などの理由が考えられます。
こうした理由から、動物医療には多くの不確実性が伴う事をご理解いただき、そのうえで、命との向き合い方を、共に考える医療を目指したいと思っております。
この職業は、どれほど心を尽くしても、感謝されたり、恨まれたりする職業です。だからこそ、信頼関係の構築が難しいと感じられましたら、どうか無理をせず、他院での治療をご検討ください。時には、それも、動物とご家族にとって最も良い選択になる場合もあると考えます。
当院での治療を希望される場合は、上記の内容を御理解の上、御利用頂けたらと思います。よろしくお願い致します。